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2019.06.25

耳鼻科と繰り返す頭痛について

梅雨の時期に入ってきて気圧が不安定な季節を迎えることになりました。これも四季の移り変わりの一環として「もののあはれ」と感じることができればいいのですが、この時期に耳鼻科では頭痛を訴える患者さんが増える印象を受けます。耳鼻科的な頭痛としては副鼻腔炎や中耳炎に伴うものが多く知られておりますが、そういった炎症を起こす病気もなく、脳神経がやられている症状もない場合はよく片頭痛・筋緊張性頭痛という病名で鎮痛薬等が出されるというケースは少なくありません。

近年、このような気圧の変化に伴う一連の頭痛やだるさ等、自律神経失調のような症状を示す病気を気象病という概念で捉えられつつあります。その原因は耳の奥の内耳といわれるリンパ液で満たされている場所にある圧を感知するセンサーが問題であると言われておりますが、詳細なメカニズムはまだ分かっておりません。実は耳鼻科でも同じような内耳の病気でメニエール病というのがあり、内耳内のリンパ圧が上がることで内耳内に存在する聞こえを感知する細胞や平衡を感知する細胞が圧によるダメージを受けるために、難聴(耳がつまった感じ)や耳鳴りならびにめまいといった症状が出る病態です。メニエール病は、その病気が提唱されてから150年以上経ちますが未だにその詳しい原因は不明です。ただ国内外の多くの研究者の努力のもと、ストレスがかかる時に発せられるホルモン(ストレスホルモンの一種で抗利尿ホルモン)により体内で水分が貯まる傾向になり、結果的に内リンパの水ぶくれ(水腫)をきたしてしまうということは分かってきております。体内での水の代謝を促すために積極的な水分摂取が効を奏することも言われており(正確には水分摂取により抗利尿ホルモンが出なくなり、結果的に内耳の水ぶくれが引いていく)、利尿剤と並ぶ効果的な治療と考えております。

このメニエール病といわゆる気象病との関連性については、重なる共通点も多いことから共通の病態がある可能性もあります。さらにメニエール病と同じような病態を示す片頭痛の病気もあり、前庭性片頭痛として名前も存在し診断するための基準もできています。最近の海外からの報告ではメニエール病の方の4割に前庭性片頭痛の合併の報告も上がってきております。繰り返す頭痛の裏に内耳の水ぶくれが隠れている可能性もありますが、逆に内耳の水ぶくれと頭痛の関連性が明らかになれば、内耳の病気をコントロールすることで頭痛のコントロールができる可能性もあり、今後の知見の結果が待たれるところです。

2019.05.20

日帰り手術の準備完了です

開院当初より日帰り手術目的で来院された患者様に対してはお待たせすることになっておりましたが、ゴールデンウィーク明けより本格的に手術を始動させていただいております。アレルギー性鼻炎に対するレーザー治療等はゴールデンウィーク前より行なっておりましたが、やはり本格的な手術となると手術器具の準備や安全性の管理を慎重に行う必要がありますので時間をとって調整して参りました。

耳鼻科の日帰り手術というのは、今に始まったものではなく明治・大正の時代から耳鼻科開業医でも行われてきた経緯があります。そもそも抗生剤が世に出回る前ですので中耳炎や副鼻腔炎からの髄膜炎・脳炎で命を落とすことも稀でなく、ゆえに感染巣除去や膿を出すため手術が必要であったわけです。当時は現代のような内視鏡や顕微鏡も無く、LEDライトもレントゲンもない状況下で淡い光に裸眼で狭い領域の手術を行っていたわけでまさしく神業的な手術が行われてきたことになります。一部の匠な術者を除いては中々その神業を体得するのは難しかったようで、手術に伴う後遺症も多く出たことは先人らの報告に記されております。

時代は、明治・大正から昭和・平成を経て令和へと移りました。テクノロジーの発展は医療技術の進歩そのもので、その恩恵を耳鼻科手術領域も受けており、手術による体のダメージをできるだけ減らす「低侵襲化」が進んでおります。耳鼻科領域は骨に囲まれかつバリエーションのある複雑な構造をとっている為、この領域の手術は目的箇所(病変箇所)に安全に到達し、安全に病変除去を行い、安全に帰ってくる(元どおりに戻す)という一連の流れが大切です。手術を安全に行うにあたり手術手技は大事なことですが、それだけでは安全な手術は行えず、いかにアプローチを安全かつ効率的に行えるかが要であり、その為には地図(画像)を読み切ることや裸眼では見えない部分を正確に見させてくれる光(機器)が必要となります。当院では「地図」として胸のレントゲン写真並みの低被曝ながら、耳や鼻の複雑な細部の骨構造を再現しうるCTシステムを導入し、また「光」として有能な顕微鏡・硬性内視鏡システムを用いております。それらのアシストにより、術者の技術を十分発揮しうる、精度の高い日帰り手術ができる体制をとっております。

医療先進国である欧米では国や患者の医療費負担軽減の面からも耳鼻科領域でも日帰り手術は10年以上前から行われてきており、近年はその安全性を評価する報告も多く見受けることができます。「低侵襲化」が実現したからこそ、病院でしかできなかった医療技術をもっと身近にクリニックレベルで、ご希望の方は一度受診の上でご相談ください。

2019.04.17

子供の滲出性中耳炎について

あっという間に開院1ヶ月が過ぎました、花粉症の時期も重なり余裕がない局面があったかと思いますが、どうかご容赦いただければと思います。また、初めましての方が多いのですが大病院勤務医時代の患者様でわざわざ当クリニックまで足を運んでいただいている方も多く、本当にご不便をかけております。精一杯、最適の治療をもって対応させていただきますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

子供さんも多く、意外に耳鼻科恐怖症のお子さんも多い印象を受けておりますが、勤務医時代から僕は無理やり複数人の大人で押さえつけての診察は可能な限り避けております。中には此処一番押さえなければならない局面もありますが、子供は子供なりに耳鼻科治療が怖くなくまた大して痛くない(全く痛くないとは言いませんが・・・)ものであることが理解できれば必ず診察させてくれるものだと信じてやってまいりました。その延長が、多くのお子様に対して鼓膜切開や鼓膜チューブ留置を外来診察室で行ってきたことに繋がっているのだと思っております(残念ながら全員ではないですが・・ただ3.4歳以上であればしっかり説明してあげ、安心させてあげることが大事だと思っております)。特に滲出性中耳炎は長引くことで慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎といった難聴が生涯残ってしまう可能性が高い病態へと進展していきますので、長引く時は鼓膜チューブ留置のタイミングが重要です。近年わが国でもガイドラインが作成されて、滲出性中耳炎治療の均一化がなされてきております。できれば鼓膜チューブ留置に至る前に治したいところですが、そのためには薬による鼻治療の継続とポリッツェル球というゴム製の器具を用いて鼻から耳に空気を送るいわゆる通気治療が従来から良いとされてきております。子供の通気治療は効果を得るには頻回な通院を要しますが、当院では忙しい親御さんのために「オトベント Otovent®」というデンマーク発祥の滲出性中耳炎・航空性中耳炎用の(医療用)鼻風船システムを導入しており、自宅メインでの治療も可能としております。もちろん滲出性中耳炎を繰り返す場合や治療しているにも関わらず病態が悪化し聞こえが悪くなっていく背景にはアデノイドといって鼻の奥の扁桃組織が肥大している可能性もございます。そのような時は耳管処置ではいくら通院しても治りませんので、状況に応じては総合病院耳鼻咽喉科に紹介し、全身麻酔下でアデノイド切除と鼓膜チューブ留置を同時に行うことを勧めさせてもらいます。

 

2019.03.01

耳・鼻・喉に関して役立つ情報を更新してまいります。

こちらで患者様に役立つ耳・鼻・喉に関する情報を更新してまいります。
何卒宜しくお願い申し上げます。

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