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2024.01.26

鼻の神経応答ー鼻づまりは健康に必要かー

寒い時期が続く中、鼻症状でお悩みの方が多い印象です。この時期のアレルギーは何ですか?とよく聞かれますが、スギやハンノキの花粉が軽度飛散しそちらに反応していることもありますが、ウィルス感染による感冒症状やそれによる副鼻腔炎が主だっていることもありますので、鼻や喉の粘膜の状態を観察して適切な投薬となるよう心がけております。

鼻炎の診断をするにあたって視診は欠かせないのですが、中には鼻炎症状の訴えの割には診察時には比較的綺麗な粘膜の方や萎縮といったアレルギーや感染とも異なる粘膜の方もおられます。こういったアレルギーでもなく感染でもない鼻炎のメカニズムには神経反射の関与が言われており、寒いところで鼻水がよく出るといった寒暖差アレルギーといった血管運動性鼻炎や食事の時に鼻水や鼻詰まりが起こる味覚性鼻炎などが挙げられます。寒暖差があると自律神経の乱れが生じますし、食事の唾液分泌も自律神経が担っておりますので、いわゆる自律神経系の鼻炎とも言われてきました。ではなぜ自律神経が鼻の詰まりに影響するのかというと、自律神経は血管を縮めたりや広げたりしており、鼻粘膜の下には多くの細かい血管が存在するため、血管が縮んでいる時は粘膜が縮むので鼻は通り、血管が広がっている時は粘膜が腫れて鼻詰まりを生じてしまうということになります。

自律神経以外に寒さ刺激や辛さ刺激を司る知覚神経も、血管を広げる物質を放出することもわかっており、寒さ刺激や辛いものを食べた時に鼻水や鼻詰まりが起こるのは自律神経や知覚神経の複合的な要素で起こるのではないかと考えられます。こういった神経の反応と鼻症状の関係を示した興味深い研究の一つに、足湯によって鼻症状の緩和が見られたという報告があります。足湯ということで、いかにも温泉大国日本からの報告なのですが、足の温度が上がると鼻の粘膜の温度も上がるという神経反応があり、それにより鼻症状が改善する可能性を示したものです。鼻炎でお悩みの方は一度試されてみては如何でしょうか。

自律神経と鼻詰まりに関して、最近の知見をもう一つ。自律神経が鼻に影響を与えている生理反応の一種にnasal cycleというものがあります。片方の鼻が広がればもう片方の鼻は縮まるというものです。片鼻が詰まるのは病気ではないのか?ということで日本では交代性鼻炎と呼ばれているのですが、自律神経のバランスが取れている証拠の一つであり、もちろん病気ではありません。このnasal cycleの目的は鼻を片方ずつ休ませるなど諸説ありましたが、2021年にイギリスから新説が提唱され、その内容はnasal cycleが感染防御に対する役割を担っているというものです。元来、気道感染を起こすウィルスは32℃でよく増殖し37℃で増殖が抑えられることは知られていたのですが、鼻呼吸をする過程でnasal cycleにより片方の鼻が詰まる状況を作ることで咽頭部での加温が維持されウィルスが増殖しにくい状況を作っているというわけです。加湿下でもウィルスの増殖は抑えられますので、鼻の加温・加湿機能というのが生態防御の観点からは重要な働きをしているということです。

このことは手術をする側からも留意しなければならない点です。口呼吸が続くようなひどい鼻詰まりで、投薬でのコントロールが困難な場合は鼻腔形態を改善する手術も考慮しなければなりません。ただ上述の観点から鼻腔形態改善術においては、鼻の通りだけを念頭に置くのではなく、加温加湿機能を考慮した手術が大切であるということです。当院でもその点に注意を払い手術を行なっております。

2023.05.26

その副鼻腔炎 急性ですか?慢性ですか?

新型コロナが5類感染症に移行されました。パンデミック前の日常を取り戻しつつありますが、新型コロナとの共存は続きますので、怖がり過ぎず、甘く見過ぎず、適切な感染対策を実施していきたいと考えています。ウィルスとの共存という意味では、この時期(春から夏にかけて)はライノウィルスなど鼻炎を引き起こすウィルスが流行し、季節性アレルギー性鼻炎(いわゆる花粉症)とも重なり、鼻炎で悩む方が多くなります。鼻炎がこじれて副鼻腔炎を引き起こす方も多く、副鼻腔炎に至ると鼻周囲や額の痛みも伴ってきますので日常的には鼻炎よりさらに辛い状況となります。

副鼻腔炎には急性と慢性があり、急性は感染による鼻炎が引き金となっておりそのほとんどが風邪(ウィルス)からの移行と言われております。慢性については、急性を繰り返すものが慢性と従来考えられてきましたが、現在は急性の反復という病態は、慢性とは病態が異なるゆえに分けて考えるのが正しいとされています。では、副鼻腔炎の慢性とは?という事ですが、その病態は急性のような持続感染があるのではなく、免疫応答異常などの持続炎症がある状態と理解されています。ややこしいですが、簡潔に言えば、急性は感染が主体、慢性は感染が主体ではないということです。

このことは、治療法に反映されます。急性は感染ですがウィルス感染が主で、抗生物質が必要な細菌感染に発展するのは2%程度と言われています。ですので、急性の治療で積極的に抗生剤を使用するのは基本的には推奨されておりません。ただし、状況に応じて抗生剤を使用しなければ眼や頭に炎症が波及するようなよりひどい状況にもなってしまいますので、ガイドライン(IDSA:米国感染症学会など)に則って適宜必要と判断した際には抗生剤を使用しないといけません。慢性においては、その背景は感染主体ではありませんので抗生剤は基本的に必要ないことになります。ただ、細菌を殺す「殺菌的」なものとは別の細菌の増殖を抑える「非殺菌的=静菌的」な抗生剤であるマクロライド系抗生剤(ML)はよく使われます。これはMLの抗菌作用以外の抗炎症作用に期待した治療で、慢性の病態が持続炎症であることを考えれば理にかなっており、少量で長期間投与することで効果も示されております。現時点では副作用も少なく有効な治療と考えられていますが、投薬はあくまでも全身投与ですので長期投与となると薬剤耐性(抗生剤が効かない細菌の出現)の問題や全身への影響(肝機能障害など)に気を配らなければなりません。

慢性の治療について最近のトピックスを少し。慢性の病態が持続炎症であるという観点から、抗炎症作用がありかつ局所投与で安全性の高いステロイドの噴霧にスポットが当たっております。従来の鼻の噴霧ステロイドは、その成分の5%以下しか副鼻腔炎の炎症部に到達せず、その薬剤到達法が課題でした。そのことを改善すべく、米国では呼吸補助下での鼻のステロイド噴霧(XHANCE®️)が開発され、より鼻腔の深部まで有効成分を到達させることに成功しております。国内においても喘息用の吸入式噴霧ステロイドを口から吸って鼻から出すという「経鼻呼出療法」が慢性副鼻腔の治療にも応用されております。慢性でもより重い好酸球性副鼻腔炎に対してですが、症状改善に有効であると報告されております。当院でもできるだけ有効な点鼻吸入指導をして、症状の改善に努めております。

2021.09.16

副鼻腔炎 いま むかし

「はな垂れ小僧」という言葉があるように、昔は青鼻を垂らしている子供も多く、服で鼻を拭くため袖がカピカピになってしまう子供も多くいたように記憶しています。青鼻の原因の多くは感染からの修復過程の状態で、通常の免疫であれば自然治癒することが多いですが、長期間続く病態は持続的な細菌感染が存在し、3ヶ月以上続けば慢性副鼻腔炎でいわゆる「ちくのう症」となります。

最近では青鼻を垂らしている子供も随分見なくなりましたが、これは慢性副鼻腔炎が減ったからであると言われています。この傾向は成人にもあり、その背景には衛生状態が良くなったことや医療の充実によって重症化の予防がなされてきたことが大きいと思います。ただ、近年では従来の慢性副鼻腔炎に代わってアレルギーに起因し、喘息や鼻茸を合併しやすい好酸球性副鼻腔炎と呼ばれるものが増えてきており、衛生状態や医学の進歩に関わらず、アレルギー疾患が耳鼻科領域でも一昔前に比べると増加していることが関係していると言われています。

アレルギー疾患の増加の要因に関しては、諸説ある中で「衛生仮説」というものが近年注目されており、食を含めた生活環境の変化や衛生状態が良くなったことで逆にアレルギー反応が強く出てしまうというものです。やや専門的になりますが、アレルギーというのは白血球の一種であるTh1細胞とTh2細胞のバランスが崩れることで引き起こされるとされており、Th2細胞が増えるとアレルギー反応が強く出るとされております。Th1細胞は細菌感染の時に活躍するために、細菌感染の時はTh1細胞が活躍し、その反面Th2細胞が抑えられてアレルギー応答が出にくくなります。逆に言えば衛生状態が良くなり、細菌感染が抑えられた昨今の状況下ではTh1細胞の出番が少なく、Th2細胞が優位に立つためにそのバランスが崩れてアレルギー反応が強く出てしまうというわけです。

好酸球性副鼻腔炎もTh2細胞が関係するアレルギー主体の副鼻腔炎なのですが、喘息や鼻茸に加えて、中耳炎も合併しうる病態で、「はなづまり」「息苦しさ」「臭わない」「聞こえない」と四重苦で、重症の方は生活の質が大きく低下してしまいます。抗生剤やステロイド治療が基本治療となりますが効果は薄いことが多く、手術加療で鼻茸や病的粘膜の清掃を行えば鼻洗浄やステロイド点鼻薬等での管理である程度コントロールは可能ですが、術後の定期的なメンテナンスを怠るとまたすぐ鼻茸が再燃するという厄介な病態です。このような経緯からこの病気は2015年に国の指定難病となり、分子標的薬を代表とする新たな治療薬の開発も進んできております。

分子標的薬というと昨今では専ら癌治療方面での活躍が華々しいですが、簡単に言えば病気の原因や悪化因子となる分子(抗体やタンパクなど)を標的としてピンポイントに攻撃し、そこに関連する生体応答をブロックする治療です。好酸球性副鼻腔炎においてもアレルギーの免疫機構の中で特に炎症を強く引き起こすような抗体の存在が解明されていますので、その抗体を押さえ込むような分子標的薬がでてきております。同じアレルギー疾患であるアトピー性皮膚炎や喘息においては、重症例においてはすでに先駆的に使用されており、安全性も含めて良好な結果を得ております。新しい治療ですので適応は限られますが、当院でも使用可能としており難治性副鼻腔炎患者様の一筋の光となればと考えております。

2020.05.13

ウィルス感染による嗅覚障害

世界的な感染の広がりを見せている新型コロナウィルス感染ですが、収束への糸口が見出せるように一刻も早い治療法の確立が待たれる現状です。治療法が確立していない状況では、できるだけ感染拡大を防止することが重要であり、当院でも可能な限り感染予防に取り組んで日々の診療を継続しております。

新型コロナウィルスの初期症状は一般的な風邪症状を呈しますが、中でも嗅覚障害(味覚障害)を呈することが多いことが報告されてきております。そういう背景もあり、嗅覚障害や味覚障害が生じた時は新型コロナウィルス感染の可能性も否定できないために、まずは7日間程度の自宅での隔離を行い、発熱・倦怠感・咳など追加の症状が出現しないかを観察していくことが感染拡大を抑える上で重要とされております。ただ、嗅覚障害の多くは副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎に加えて一般的な風邪のウィルス(ライノウィルスやインフルエンザウィルスなど200種類以上)によって引き起こされますので、嗅覚障害を生じたことが新型コロナウィルス感染をすぐに意味するわけではありません。とは言うものの、その可能性はありますので落ち着いて慎重に追加症状の有無をしっかり見ていかなければなりません。

嗅覚を司る嗅細胞が存在するのは嗅上皮という部位で、鼻の奥深いところ(眉間の奥)にあり、臭いの分子が空気の流れに乗って嗅細胞に届かないと嗅覚障害をきたします。多くの嗅覚障害はこの病態、すなわち鼻の粘膜が腫れて嗅細胞までに空気の流れが届かない状態(副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・風邪)で起こり、この状態を呼吸性嗅覚障害といいます。それとは別に、嗅細胞そのものがやられてしまって臭いの分子が嗅細胞に届いてもその奥の神経(嗅神経)に刺激が行かないという病態もあり、これを神経性嗅覚障害といいます。神経性嗅覚障害は主にウィルスが嗅細胞に直接感染することや、ウィルスに対する体の免疫応答によって嗅細胞が障害されることによって起こるといわれております。

神経性嗅覚障害として多いのは感冒罹患後嗅覚障害と言われるもので、いわゆるインフルエンザ等の風邪症状で鼻が詰まっているので臭いがしないと思っていると、風邪症状が落ち着いて鼻が通り出しても臭いがしない状態が続くというものです。ウィルスによる神経毒性により嗅神経が障害されてしまうのではないかと言われており、新型コロナウィルスによる嗅覚障害もこの神経性嗅覚障害の一つと考えられております。

嗅細胞は嗅神経末端にあり、嗅神経は脳神経の一種です。脳神経の末端は通常一旦傷つくと元に戻らない繊細でナイーブなものなのですが、その中にあって嗅神経末端である嗅細胞は再生を繰り返すと言う特異な能力を持っております。故に神経性嗅覚障害になったからといって治らないと言うわけではなく、その半数位以上の方は完治もしくは改善に至るとされております。ただ、改善に至るには一年以上かかるケースも珍しくなく、再生された神経細胞がその機能を取り戻すためにはある程度時間を要するということだと思います。

ただ残念ながら、中には治療効果なく臭いが戻らないこともあります。しかし、昨今の再生医療の現場においては、元来再生しうる嗅細胞をターゲットとした研究も多く、iPS細胞などの登場で更なる知見が深まっている領域ではあります。そう遠くない未来に嗅覚障害克服の日が来ることを願いつつ、ただ、まずは新型コロナウィルス感染の収束がそう遠くない日に来ることを切に思います。

2020.01.19

花粉症とアレルギーコンポーネント

1月に入るとスギ花粉の飛散がぼつぼつ始まります。約4人に1人と国民病とも言われるスギ花粉症ですが、これは世界的にみると日本特有で、戦中の軍需利用で大量の木材を消費したために戦後にスギ植林を日本各地で行ったことがその一因と言われております。

鼻汁を訴える患者さんにアレルギー性鼻炎と言われたことがあるかを聞くことがありますが、「花粉症は言われたことがあるけどもアレルギー性鼻炎と言われたことはありません」という答えが返ってくることが時にあります。花粉症自体はアレルギー性鼻炎の一つで<季節性アレルギー性鼻炎>と言われており、それに対してハウスダストやダニなど1年を通して反応する鼻アレルギーを<通年性アレルギー性鼻炎>と言います。

アレルギー性鼻炎の診断は採血で行うのですが、アレルギー自体は抗原と抗体が反応して起こる免疫反応(抗原抗体反応)ですので、それぞれの鼻アレルギーをきたし得る抗原(ハウスダストやダニ、春のスギや秋のブタクサなど)に対して自身がIgE(アレルギーに関係する抗体)をどの程度持っているのかで重症度の目安となります。いわゆるRISTRAST検査と言われるもので、臨床の現場では約40年前から取り入れられております。RISTとは総合的な血中のIgEを測定するもので、アレルギー反応がどの程度体の中で起こっているのかを示します。もう一方のRASTとは各々の抗原に対してどれだけアレルギー反応が出ているのか(IgEが高いのか)を示します。

近年はさらに抗原の中でもよりミクロなレベル、すなわちIgEが結合するタンパク部分の解析が進んできており、IgEが直接結合する部分(タンパク)をアレルゲンコンポーネントといいコンポーネントでアレルギー反応を捉えていく時代になろうとしております。言い換えれば食物アレルギーやアレルギー性鼻炎はそれぞれの食物や花粉に対して起こっているというのはやや粗い理解であり、それぞれの食物や花粉がもつもっと詳細なコンポーネントの部分でアレルギー反応を理解していこうというものです。この理解が医療の場で応用されているのは主に食物アレルギーの分野ですが、耳鼻科領域でも近年は「花粉食物アレルギー症候群(PFAS)」や「口腔アレルギー症候群(OAS)」と言う概念で取り上げられております。

PFASOASの代表例の一つに春に花粉を飛散するハンノキ(カバノキ属)にアレルギーを持つ人がリンゴを食べると口のイガイガをはじめとしてアレルギー症状を引き起こすという状態があり、これはハンノキのもつコンポーネントとリンゴの持つコンポーネントが構造として似ているため、ハンノキのコンポーネントに反応するIgEがリンゴのコンポーネントにも結合してアレルギー症状が出てしまうためと言われております。ただこのリンゴのコンポーネントは熱で変性してしまいますのでアップルパイであればアレルギー症状は出ないということも分かっております。

これらのコンポーネントに関する新たな知見がどんどん明らかにされていくことで病態の新たな解明や治療の多様化に繋がる可能性が言われており、当院でも春にアレルギーを有する方のアレルギー検査(RAST検査)にはハンノキ花粉を加えております。今回はやや専門的な話になってしまいましたが、気になる方は一度ご相談ください。

2019.07.31

たかが鼻づまり、されど鼻づまり

自然に口呼吸をする哺乳類は人間だけと言われております。喋る能力を獲得したがゆえに口呼吸になったという説もありますが、本来は人間も他の哺乳類と同じく鼻呼吸をするのが自然な形です。なぜ口呼吸になってしまうかというと本来自然な形である鼻呼吸が難しくなるからであり、その原因は両鼻を塞いでしまう病態です。大人の場合、その多くはアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎(ちくのう)といった炎症によるものや鼻中隔湾曲症といった鼻の真ん中の柱が左右に大きく曲がってしまっている構造的な問題による原因であることが多く、子供の場合はアデノイド増殖症といった鼻の奥の扁桃腺が大きくなり鼻の奥で空気の通り道を塞いでしまっていることが多いです。

鼻づまりの結果引き起こされる口呼吸ですが、短期間であればそれほど問題はありませんが慢性的となるようであれば口腔乾燥や睡眠中の無呼吸を引き起こしてしまいます。口腔乾燥はさらには慢性的な喉の炎症、高齢者であれば誤嚥性の肺炎に繋がっていくリスクであり、今や無呼吸は高血圧を代表とする循環器疾患や、認知症を含めた脳血管障害に繋がっていくリスクであると言われております。鼻づまりはさらには口呼吸のみならず耳とも繋がっておりますので特に子供にみるアデノイド肥大においては滲出性中耳炎という小児難聴の代表格を引き起こしてしまうことになってしまいます。

鼻づまりを劇的に改善させる手段の一つに手術があり、そのことで得られる効果の報告は上に述べたごとく様々ではありますが、最近の研究報告から成人と小児それぞれを対象にしたものを二つ紹介します。

一つは鼻中隔湾曲症による鼻づまりがある成人患者さんに対して鼻中隔矯正術を行ったことに関連する報告で、その結果、鼻づまりの改善により血中のLDLコレステロールが有意に手術の前と後で変化し改善したというものです。LDLコレステロールは動脈硬化の形成を担っているため、鼻づまりの改善が循環器病態の改善につながり、ひいては動脈硬化の改善につながる可能性についてこの報告は述べております。

もう一つは小児のアデノイド・扁桃腺切除からの報告ですが、口呼吸となっていた小児に対してアデノイドと扁桃腺の切除を行い、鼻呼吸をメインに変えることにより明らかに肺動脈圧が低下したという報告です。この事実は大人において、睡眠時無呼吸が高血圧の原因となることはすでに言われておりますが、その治療のCPAP(睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込む治療)時に鼻が通っていなければ十分効果が発揮できないということの裏付けにもなると考えます。

計測機器等の発達の影響もあり、鼻呼吸が生理的にいかに大事であるかが明らかになっていく昨今です。いい鼻で健康な人生を送りましょう!

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