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2019.07.31

たかが鼻づまり、されど鼻づまり

自然に口呼吸をする哺乳類は人間だけと言われております。喋る能力を獲得したがゆえに口呼吸になったという説もありますが、本来は人間も他の哺乳類と同じく鼻呼吸をするのが自然な形です。なぜ口呼吸になってしまうかというと本来自然な形である鼻呼吸が難しくなるからであり、その原因は両鼻を塞いでしまう病態です。大人の場合、その多くはアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎(ちくのう)といった炎症によるものや鼻中隔湾曲症といった鼻の真ん中の柱が左右に大きく曲がってしまっている構造的な問題による原因であることが多く、子供の場合はアデノイド増殖症といった鼻の奥の扁桃腺が大きくなり鼻の奥で空気の通り道を塞いでしまっていることが多いです。

鼻づまりの結果引き起こされる口呼吸ですが、短期間であればそれほど問題はありませんが慢性的となるようであれば口腔乾燥や睡眠中の無呼吸を引き起こしてしまいます。口腔乾燥はさらには慢性的な喉の炎症、高齢者であれば誤嚥性の肺炎に繋がっていくリスクであり、今や無呼吸は高血圧を代表とする循環器疾患や、認知症を含めた脳血管障害に繋がっていくリスクであると言われております。鼻づまりはさらには口呼吸のみならず耳とも繋がっておりますので特に子供にみるアデノイド肥大においては滲出性中耳炎という小児難聴の代表格を引き起こしてしまうことになってしまいます。

鼻づまりを劇的に改善させる手段の一つに手術があり、そのことで得られる効果の報告は上に述べたごとく様々ではありますが、最近の研究報告から成人と小児それぞれを対象にしたものを二つ紹介します。

一つは鼻中隔湾曲症による鼻づまりがある成人患者さんに対して鼻中隔矯正術を行ったことに関連する報告で、その結果、鼻づまりの改善により血中のLDLコレステロールが有意に手術の前と後で変化し改善したというものです。LDLコレステロールは動脈硬化の形成を担っているため、鼻づまりの改善が循環器病態の改善につながり、ひいては動脈硬化の改善につながる可能性についてこの報告は述べております。

もう一つは小児のアデノイド・扁桃腺切除からの報告ですが、口呼吸となっていた小児に対してアデノイドと扁桃腺の切除を行い、鼻呼吸をメインに変えることにより明らかに肺動脈圧が低下したという報告です。この事実は大人において、睡眠時無呼吸が高血圧の原因となることはすでに言われておりますが、その治療のCPAP(睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込む治療)時に鼻が通っていなければ十分効果が発揮できないということの裏付けにもなると考えます。

計測機器等の発達の影響もあり、鼻呼吸が生理的にいかに大事であるかが明らかになっていく昨今です。いい鼻で健康な人生を送りましょう!

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