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2019.09.08

突発性難聴とステロイド治療

「朝起きたら突然の耳鳴りや耳の違和感を覚える。そのうち治るだろうとそのまま様子を見ていたが治らない。」これは一般的によく見る突発性難聴の患者さんのエピソードです。めまいを伴わないために日常生活が進まないほどの支障が無く、来院が遅れがちになりますが、最近はインターネットやSNSでご自身や周囲の方が比較的早く調べて情報を得るので一昔前ほど手遅れという状況は少なくなってきている印象です。

手遅れって?ということですが、治療開始の時期は早いに越したことはなく、1週間以内とくに48時間以内が望ましいと言われております。原因不明とされている突発性難聴ですが、ウィルス感染・循環障害・免疫異常の混在により聞こえ(の振動)を感知する感覚細胞に障害が生じて起こると言われております。この聞こえを感知する感覚細胞は生まれた時から数が決まっており、困ったことに一度その機能を失うと再生しません、ですのでその機能を失う前に少しでも早く治療をというのがこの病気の治療の難しいところです。

突発性難聴の治療においては炎症や免疫を抑える作用のあるステロイド治療が広く行われてきております。原因不明なのに?と思われるでしょうが、これは難聴も合併する免疫関係の全身の病気(自己免疫疾患)で治療の一環としてステロイド治療を行なった時に難聴も同時に改善したことに由来します。それ以降わが国では突発性難聴を含む原因不明の難聴には経験的にステロイド治療がよく行われておりますが、近年の研究からこの病態の解明も進みつつあり、ステロイド治療がいかに分子・遺伝子レベルで繊細な聞こえを感知する細胞を保護するか、機能を取り戻すことに役立っているかが明らかになってきておりこの治療の有効性を後押しするものとなっております。

ステロイド治療と聞くと、特に年配の方々は副作用を心配される方も多い印象を持ちます。乱用による副作用が多く出た時代のイメージかと思いますが、現在はゴールを決めて短期間で使用することで副作用を出さないように使用するというのが一般的です。特に突発性難聴の治療でのステロイド使用は通常は1週間程度という非常に短期間での使用であり、安全性の面では概ね問題ないとされております。ただ、血糖をあげる作用が強く出ますので重度の糖尿病の方は、ステロイド使用期間中はインシュリンによる血糖コントロールをしなければならず、入院加療が必要ということになります。

外来通院でのステロイド治療は飲み薬か点滴かを重症度等も考え患者さんと相談して決めていきますが、どうしても全身ステロイド治療に抵抗があるという方には鼓室内注入という選択肢もあります。鼓膜の奥の中耳という空間にステロイドを満たし、さらにその奥の繊細な感覚細胞がある内耳にステロイドを浸透させるというやり方ですが、最近の報告では全身投与と同等の効果も認めており、ステロイドが全身に及ぼす影響はほぼありません。鼓室内注入は当クリニックでも外来で行っており、注入後は10-20分間横になったのちに帰宅となります。いずれにせよ突発性難聴の治療にはゴールデンタイムがあり、感覚細胞が細胞死に至ってしまうとその機能を取り戻すことは難しくなってしまいます。耳の異変に気付いた時は早めの受診を。

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