耳管ピン挿入術はどのような場合に行う手術?
耳管ピン挿入術はどのような場合に行う手術?
耳管開放症確実例の診断の下、漢方等の内服・生食点鼻・鼓膜チューブ留置術・鼓膜テープ療法等での治療を半年以上継続しても症状改善が見られず、かつ耳管を閉じる処置(試験)で症状改善が見られる方には耳管ピン(Kobayashi plug)挿入を検討します。
手術内容
やや大きめの鼓膜切開を行ったのち、鼓膜を通して鼓膜の奥にある耳管方向にシリコン製のピン(Kobayashi plug)を挿入します。
手術の流れ
10分程度の鼓膜への浸潤麻酔後に鼓膜切開を行い、耳内内視鏡下で耳管ピンを挿入します。挿入後、鼓膜切開部は閉鎖を促すよう被覆材で覆い鼓膜穿孔が生じにくいようにします。麻酔を含めて30分程度で終了します。
耳管ピン挿入術の効果
耳管ピン挿入術後は鼓膜を被覆剤で覆うため、数日間は詰まったような感覚が残ります。自声強聴等の開放症状は挿入後しばらくして効果が認められることが多いですが、聞こえの違和感は被覆剤を除去するまでは残ります。1週間後にご来院いただきますが、その時に被覆剤を除去し耳管ピンの脱落や鼓膜穿孔の有無を確認します。
当院で耳管ピン挿入術を受けるメリット
専門性が高く、手術経験が豊富な医師が診察から手術まで担当
当院院長は、欧州の臨床現場で見た耳鼻科手術のレベルの高さ、局所麻酔手術の安全性の高さを目指し、これまで数多くの局所麻酔下での耳・鼻の手術を行って参りました。
初診から手術、その後のチェックまで、経験豊富な院長が一貫して担当いたしますので、どうぞご安心ください。
耳の中の画像を見て頂き、分かりやすく丁寧な説明を
検査で得られた画像・映像は、できる限り患者様にもご覧いただいております。
ご自身の耳の中がどんな状態なのか、どんな手術が行われるのか、十分にご理解いただくことが、ご不安の解消、前向きな気持ちにつながります。
分かりやすい言葉の選択、丁寧な説明を大切にしておりますので、ご不明の点はご遠慮なくお尋ねください。
局所麻酔にて日帰りにて手術が可能
当院では、耳管ピン挿入術を日帰り手術として受けていただけます。
手術は30分程度で、通常は術後はすぐ日常生活に戻っていただけますので、お身体へのご負担も少なくて済みます。
耳管ピン挿入術の料金
手術名 | 3割負担 |
---|---|
耳管用補綴材挿入術 | 54,300円 |
※上記の費用に、診察料・薬剤料・処方料などが加算されます。
術後の注意点
- 一時的なめまいが起こることが稀にありますが、通常は一晩眠れば治まります。風邪をひくと治りが遅くなりますので、体調管理には気をつけてください。
- ピンのサイズが合わずに入換えが必要なことがあります。
- 術後リスクとして、鼓膜穿孔・滲出性中耳炎・耳鳴や難聴の悪化が生じる可能性があります。
- 手術後48時間以内は、鼻がみ、鼻すすり、血圧の上がるような運動は避けてください。その他の日常生活レベルの活動は問題なく行っていただけます。
耳管ピン挿入術のQ&A
すぐに手術を受けることは可能ですか?
耳管ピン挿入術は、日帰りとはいえ手術です。特に耳管開放症の難治症例の方に限りますので、耳管開放症確実例の診断に必要な検査を施行し、確定診断のもと難治であることの経過をしっかり観察した上で行いますので、すぐに、というわけにはいきません。
手術時間はどのぐらいですか?
耳管ピン挿入術は、麻酔を含めて30分程度で終了します。
手術中や手術後に痛みはありますか?
鼓膜への浸潤麻酔を行いますので、通常は鼓膜切開時に痛みが生じることはありません。ただ、切開後に耳管にピンを挿入する時には痛みを生じることがありますので、その時には追加で耳管周囲の粘膜に浸潤麻酔を少量塗布するすることがあります。この量が多いと内耳に麻酔が浸透しめまいが生じますので慎重に浸潤麻酔の追加を行うよう心がけております。手術後に痛みが出ることは、ごく稀です。念のため、鎮痛剤を処方いたします。
手術のリスクや副作用などはありますか?
手術時のリスクとしては、内耳麻酔によるめまいとそれに伴う嘔吐の可能性があります。通常は麻酔の効力がなくなれば治りますが、内耳麻酔によるめまいが起これば一晩程度のめまい症状の継続はありえます。術後のリスクに関しては、耳管を狭くするよう試みますので耳管の大半が塞がれた場合は滲出性中耳炎になる可能性があります。再診時に滲出性中耳炎を起こしている場合には、鼓膜チューブ留置も併せて行うことがあります。また、鼓膜切開をしますので、切開部が閉鎖せず鼓膜穿孔(鼓膜に穴が残る状態)をきたすリスクもあります。鼓膜穿孔を起こした場合は、穿孔を閉鎖する処置を後日追加で行います。あと、可能性は低いですが、難聴・耳鳴の(悪化)リスクがあります。
遠方から来院するのですが、手術可能でしょうか?
手術後リカバリー室で休息をとっていただき、その後眩暈等が無ければ帰宅していただいております。
眩暈が残った場合は、眩暈が治るまでクリニックで休んでいただくかタクシーでの帰宅、家人等による送迎で帰宅していただいていおります。
耳管ピン挿入術が対応できないケースはありますか?
耳管ピンは耳管開放症の難治症例に有効ではあるものの(有効率約8割)、完全な治療ではありません。うまくいかないケースもあればリスクも伴いますので、その辺りの不安が強い方は手術をお断りしております。
耳管ピン挿入術に年齢制限はあるのでしょうか?
成長による耳管形状の変化によって症状が改善する可能性があるため、小児への挿入は慎重に行うよう指針が出されております。ですので、未成年で骨格が発育途上の方への挿入は控えております。